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どうも、うどうです

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泰作さん

7/20、お嫁さんの誕生日会にて。

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ケーキ。          ステキ。          花火。

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プレゼント。        プレゼント。        泰作。






  お嫁さんの誕生日


 七月二十日(ハンバーガーの日)は、お嫁さんの誕生日でした。
 しかし、今年は仕事やなんだで忙しく、なんにもプレゼントを用意できていません。一応ケーキくらいはと、おちびちゃんお気に入りの31のアイスケーキを予約するつもりでしたが、二十日辺りに颱風上陸の恐れという情報が入り、そんな中、遠路はるばる買いに行くのもどうかという話しになり、今年のお嫁さんの誕生日会はご破算、という方向になんとなく傾き、気持ちが落ち着きかけていたところへ、当日の夕方になり不意にお嫁さんから電話が掛かってきました。
「やっぱり、ケーキだけでも買ってきてくれる?」
 予想外の言葉に、ぼくははっと我に返りました。一体、ぼくは何をしていたのでしょう。ぼくという人間は、一年にたった一度だけの特別な日を、まるで使い終わった鼻紙かなにかのように、ぞんざいに扱ってしまうところだったのです! ぼくは、心の中で自分の頬に平手打ちをしました。そして、深く深く恥じ入ったのでした。

 ぼくは、仕事を終えると近くのケーキ屋さんに走りました。しかし、予約もしていないぼくに、誕生日ケーキなど手に入れることができるでしょうか。
 結論から申しますと、神はぼくをお見捨てになりませんでした。ショーケースに辛うじて残っていたケーキは、お嫁さんの大好きなバターチョコのケーキだったのです!
「ロウソクは何本おつけしますか?」の質問に「三十六」とはきはきと答えながら、ぼくはお友達に電話をしました。せっかくですから、お友達にも祝ってもらう魂胆です。
 無事、お友達にも快諾いただき、残る問題はプレゼントのみとなりました。
 これには、今から市内のおしゃれ店を巡って、お嫁さんの喜ぶものを探すという選択肢もありましたが、しかし、今から探してみたところで所詮付け焼刃、納得できるものを見つけられる可能性も低く、時間的なリスクも考慮し、ぼくは違う方法を選びました。それは、近所のスーパーで間に合わすという方法です。ぼくは、早速スーパーへ向かいました。
 店内は、主婦や仕事帰りの人たちで賑わっていました。ぼくは一丁前に買い物かごを下げ、あちらこちらを物色しました。しかし、これといって目ぼしいものが見つかりません。
 その時、ある商品がぼくの目にぴたりと止まりました。それは土佐銘菓「泰作さん」でした。「泰作さん」とは、湿気たビスケットで羊羹を挟み込んだ、和洋折衷のお菓子です。湿気たビスケットで羊羹を挟み込むなど、常人には考えも及びません。なんという斬新さ、なんという奇想天外、なんという暴挙でしょう。手に取ってみると、重さも大きさもお手頃です。これに簡単なラッピングをすれば、それだけで素敵なプレゼントになるではありませんか。ぼくは、ほくほく顔でレジに並びました。
 お支払いの時、店員さんが言いました。
「のしはお付けしますか?」
 のし。なるほど、これは素晴らしいアイデアです! ぼくはお付けしてもらうことにしました。
「お供え用でかまいませんか?」
「かまいません」
 かくして、素敵なプレゼントに花が添えられたのです。

 家に帰ると、ぼくはお嫁さんに見つからないよう、「泰作さん」をラッピングしました。包装紙には仕事用に購入していた黒い画用紙を、リボンには抽斗から探しだした青いバイアステープを使用しました。
 次はケーキに乗せるプレート作りです。お嫁さんが台所仕事をしているうちに、お友達にも協力を得ながら、おちびちゃんに作ってもらうことにしました。お嫁さんには内緒だということをおちびちゃんに言い含め、こっそりと作りました。これは、メッセージを書いた紙の両端に爪楊枝を取り付け、旗のようにケーキへ立てるという代物です。興に乗ったおちびちゃんは、色紙を使ってプレゼント用の首飾りも作り始めました。熱中して作っているところへ料理を持ったお嫁さんが登場し、慌てたおちびちゃんは、作りかけの首飾りを箪笥のわずかな隙間に押し込み隠し、ほっと胸をなでおろしていましたが、ぼくは、箪笥の隙間に勢いよく折れ曲がって押し込まれた首飾りが心配でした。

 やがて料理も揃い、パーティーが始まりました。三角帽や鼻眼鏡こそありませんでしたが、それは楽しいパーティーでした。
 さて、いよいよケーキのロウソクに火を灯します。ぼくはこの時、重大なミスを犯したことに気がつきました。
 ぼくは今年三十六才です。そしてお嫁さんはぼくよりひとつ年下です。ケーキに並べられた色鮮やかなロウソクは、大三本、小六本です。もしかしたら、小が一本多いのではないでしょうか? 店員さんが間違えたのでしょうか?
 しかし、お嫁さんもいずれは三十六才になります。みんないつかはお年寄りなのです。それならば、今日のこのロウソクも、あながち間違いとは言えないのではないでしょうか。

 大好きなバターチョコのケーキをたらふく味わい、おちびちゃんに折れ曲がった首飾りを掛けてもらったお嫁さんの満足そうな微笑みは、ぼくからのプレゼントで跡形もなく消え失せました。
 それからぼくたちは、花火をし、酒を酌み交わし、泰作を頬張り、楽しいお喋りはいつまでも続き、そうして真夏の夜は更けていったのです。
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by kawazoeudou | 2011-07-22 19:06 | 詳しい日記
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